うさみ日記

東京都日野市からまいりました宇佐見直人です。ITとかマーケとかの話や、勉強した話なんかをするよ。

サブスクリプションビジネスの予実管理と指標を学びにフィードフォースさんちの「第9回 火星の学校」に行ってきた話。

いやはや、11月も行けました火星の学校。
あれ?もう12月?まあいいや。


今回は「SaaSとかサブスクリプションビジネスのKPI」というのがメインテーマでした。


先生は
DIGGLE(ディグル)予実管理のクラウドサービス| 予実管理クラウドサービス
をやってらっしゃるタシナレッジの山本先生。
digleじゃなくてdiggleね。
予実管理ができるwebサービスです。

さっそくだが本題だ。

サブスクリプションとかSaaSとか、
それ以外でも月々支払してもらえるサービスの指標を学んだので、
復習の意味もこめて書いていきます。
そこんとこよろしく。
家賃だろうが携帯の契約だろうがライ◯ップだろうが使えます。


間違えてたら、ごめんなさい。
むしろつっこみ希望です。

1.MRR(月間の売上高:Monthly Recurring Revenue)

月にいくら売り上げたか。が、MRR。
月間100万円の売上があったら100万円ね。
一番シンプル。


10人のお客さんが10万円/月支払ってくれたら、
月100万円の売上。
翌月10万円/月の契約が一件増えたら、
翌月は110万円。


こまかく書くと
「月初の売上-月中に減った売上+新規顧客からの売上+既存顧客からの売上増分」
ということになる。


例えばここに「バーチャルホストクラブ☆愛VR(アイブイアール)」というバーチャルホストクラブがあるとしてですね。
1,000人のお客さんが3万円/月平均ずつ払ってたらMRRは3,000万円ですね。
あれです。ほら、なんかAIとかバリバリに使ってて、「サービスじゃなくてプロダクトを提供してる」感じのアプリかなんかね。
そんでお酒もちゃんと月々届くの。
オプションでドンペリも届くよたぶん。


ああ、下世話にすると理解しやすい。
脳が下世話を求めておる。


「月初の売上-月中に減った売上+新規顧客からの売上+既存顧客からの売上増分」
の方の例を書くと、
月初の見込みが3,000万円で,
3万円の契約者が10人減ったら2,970万円
でも新規顧客が3万円×10人いたら3,000万円だし、
既存顧客がオプションを30万円利用してくれたら、3,030万円が
該当月のMRR。


ちなみに名前はVRだけじゃなくて
自動音声応答の略語のIVRともかかってるからね。

2.ARR(月間の売上高×12=年間売上高:Annual Recurring Revenue)

ARRはMRRの12倍。
Annualです。
月間100万円の売上があったら1,200万円ってことね。


バーチャルホストクラブ☆愛VRで言うと、
MRRが3,000万円だったので、×12して
36,000万円ってことだよね。


AIのほうが人間よりも人間を大事にしてくれるんですよきっと。
すごいね。

3.TCV(契約総金額:Total Contract Value

契約期間全体での契約金額。
計上は月々するとしても、契約全体の金額。


バーチャルホストクラブ☆愛VRで言うと、
100万円/月で2年(24ヶ月)しばりの契約をしたら、
2,400万円がTCVだね。
ほんとは初期費用とか更新費用とかも含むんだろうけど。
とりあえずはしょる。


ていうか、アプリかなんかだろうに2年縛りの契約とか、
えげつないサービスですね。
姉妹店のバーチャルキャバクラ☆愛ARも作ればいいのに。

4.ACV(年間契約金額:Annual Contract Value

TCVは契約期間全部での、ということなので、
長さは契約期間によって変わるんだけど、
こっちは年間のもの。


100万円/月なら12ヶ月文の契約金額。
1,200万円ね。
12ヶ月間の契約金額。

5.ARPA(Average Revenue per Account)

MRRをアカウント数で割ったもの。
100万円/月の売上があって、アカウント数が10だったら、
ARPAは10万円だね。
いわゆる「契約単価」に近いんだね。


ちなみにARPAを上げるには
・単価を上げる
・アクセスユーザー数を増やす
のどちらかですね。
このへんは昔ながらだね。


バーチャルホストクラブ☆愛VRで言えば、
ドンペリドンペリ!するか、
キャッチキャッチ!するかですね。
いや、バーチャルだからキャッチじゃなくてweb広告とかなんでしょうけども。

6.ARPU(Average Revenue per User)

MRRをユーザー数で割ったもの。
1,000万円の売上があって、ユーザー数が90(10人だけ2アカウントの人がいる)だったら、
ARPAは11.11...万円だね。
こっちも「契約単価」っぽいんだけど、
アカウント数じゃなくてユーザー数なのが違うポイント。


携帯電話屋さんで例えると、
9人のお客さんがいて、一人だけスマホ2台持ちみたいな話。
あるいはバーチャルホストクラブ☆愛VRで言うなら、
複数アカウント持って違うキャラでごら〜いて〜ん。
する人がいるみたいな話だね。
スマホタブレット2台持ちで別キャラ使ってログインしてる人がいるんでしょうね。


あれか、指名制度とかあって、
巧妙にアカウントを増やしたくなる設計になってるのか…。
おそろしいぜ。

7.Churn Rate(離脱率)

これ。これが大事です。ちゃ〜んれ〜と。
何件の契約がなくなってしまうのか。


「離脱」の率なので、低ければ低いほうがいいです。


顧客のチャーンレートとMRRのチャーンレートがあって、
1.10社の既存客がいて2社退会したら Churn Rateは20%
2.10社中2社が退会したけど、売上が変わらなければ
  顧客Churn Rateは20%だけど、
  MRR Churn Rateは0%
3.退会が0でも売上が2割下がったら
  顧客Churn Rateは0%だけど、
  MRR Churn Rateは20%


ちなみにチャーンレートにはネットとグロスのチャーンレートがある
(NETって不動産屋さんも使うけど、「正味の」ってやつね)。


グロスMRR Churn Rateは
MRRロスト÷月初のMRR
失った金額分のチャーンレートって感じ?


ネットMRR Churn Rateは
(MRRロストー既存顧客からのMRR増分)÷月初のMRR
失った金額分のチャーンレートって感じ?
「正味の金額」なのね。


んで、チャーンレートの大事なところは
「とにかく低ければ低いほうがいい」
ってこと。


バーチャルホストクラブ☆愛VRで言うなら、
指名(契約)をくれていたお客様が解約してしまった、ということですね。
1,000件の契約者の内、10人解約されたら
チャーンレートは1%。


ちなみに、先生の先生であるTomasz Tunguzさんという人が言うには

スモールビジネスなら 月3〜7% 年31〜58%
ミドルビジネスなら  月1〜2% 年11〜22%
エンタープライズ(でかいところ)なら   月0.5〜1% 年6〜10%
でおさえるのがキモかな〜

ということらしい。


上のホストの話だと
神奈川在勤東京都M市在住の事務員さんなら月に3%逃してもいい。
でも、ドンペリドンペリ!してくれる都内在勤東京都M区在住の経営者さんは月に1%逃したらアウト!!
みたいな、ね。世知辛い話やで。
眠らない街インターネット、ヴァーチャル砂漠に愛はあるのか、世知辛い世の中やでほんま。

ユニットエコノミクスの話

8.LTV(Life Time Value)

1件のお客さんが平均でもたらす顧客生涯価値がLTV。
Churnがまったくない場合、LTVはなんと無限大になる(ありえへんけどもやな)。


一人のお客さんが月平均5万円の売上をあげてくれるんだけど、
最初の獲得に広告費が10万円かかっていて、
20ヶ月で去っていくサービスなら
LTVは90万円(5×20-10)。


そうそう、支払総額じゃなくて
「生涯価値」なんだよねこれ。
最初支払い総額かと思ってたわ。

9.CAC(Customer Acquisition Cost)

1件獲得するのに発生する費用。
web広告とかにかかった分を獲得した顧客数で割ったもの。
あ、でも調べてみるとこれは
「口コミとかで勝手に来たお客さんは入れないほうがいいよね?」
という考えもあるらしい。


web広告だけから集客してたら、
web広告から来てくれたお客さんの数で割る。


月300万円の広告費で1新規のお客さんが10件来るなら、
CACは30万円。

10.LTV:CAC Ratio

LTV÷CACで出す数字。
上のホストの話でいうと
LTV90万円 ÷ CAC30万円 = 3
だね。


ちなみにサブスクリプションサービスだと、
LTV:CAC Ratioが3倍以上だと、
「適切」だと言われるそうです。


この数字が小さすぎると顧客獲得にお金を使いすぎだし、
逆に大きすぎるならもっと広告にお金かけて集客してよい、
という指標になる。

11.Payback Period

CAC÷ARPAで算出する数値。
1社の獲得にかかったコスト(=CAC)を回収する期間。


ARPA(月の売上単価)が10万円で、
CAC(獲得コスト)が30万円


一人のご新規増やすのに30万円かかっても、
月50,000円の売上になるなら、
6ヶ月で回収だぜ!みたいな話。


サブスクリプションサービス的には、
12ヶ月以内に収まるのがよいそうです。


ちなみに、そんなこと誰が言うたんや、というと、Hubspotさんのブログ記事に
LTV:CAC ratioは3倍以上
Payback periodは12ヶ月以内くらいが
イケてるよね、って書いてあったそうです。


ちなみにちなみに、上に書いたTomszさんのブログには
「立ち上げて3年以内くらいだとLTV:CACは見ても意味無し、
 初期はPayback period見ようぜ」って書いてもあったそうです。
確かに、最初のうちはブレるだろうしね。


ちなみにちなみにちなみに、
回収期間法とは | 税理士なら港区の税理士法人インテグリティ
という記事によると
「ざっくりは測れるけど、
 価値は変わるし、あんまりいい指標じゃないよね」
という見方もあるらしい。
ほほー。

12.Magic number

(当該3ヶ月のQRR-前3ヶ月のQRR)×4
÷前3ヶ月の総CAC(マーケティングと営業費用)
がMagic numberの式です!
某SFDC社さんなんかが指標にしてるそうです。


新規のお客さんや既存顧客からの増分を得るために使ったコストとの
比率を見るための指標だね。


この数字が0.5〜0.6くらいに収まるのがいいらしい。
あ、QRRは突然出てきたけども、四半期の売上ね。


バーチャルホストクラブ☆愛VRで例えると、
4〜6月に3,000万円の売上
1〜3月に2,800万円の売上
1〜3月のCACが900万円
だとすると


(3000-2800)×4÷900=0.8888....
と、結構高い。
四半期の売上に×4するのは年間の売上金額を見るためだね。
四半期で1000万円使っても、年間いっぱいお金をつかってくれれば
健全に続けられるもんね。


この数字の見方っておもしろくて、
四半期から推測できる年間の売上の伸びを、四半期のコストで割るんだよね。
「四半期これだけお金をかけたら年間これだけ売上増えたよ指標」
みたいなやつなんかな。


投資家さんからすると、
「今いくら稼いでるかっていうか、
 どのくらいの伸びが期待できるかを見る指標」
として重宝するんじゃないでしょうか。


Magic Number Calculator for SaaS - Pipeline Marketing
のリンク先に2015年のだけどSaaS屋さんのMagic numberが出ている。
例えば0.5%よりチョイ上くらいのところに証券コードCRMことSalesforce.comさんがいますね。
あ、近くにMKTOことマルケトさんも。

SaaS企業の評価の話。

SaaS企業の評価の話、
が、このあとあったんだけど、
詳しくは
・Valuation
企業価値評価
M&Aマネジメント
という本を読んでね、
という話だったんで、だいぶはしょります。


ちなみに、月の売上(MRR)の7倍くらいが時価総額になるらしいよ。
あと、LTV:CACやPayback periodの予測がありえない数字になってる企業を、
VCはしっかり見抜いてるらしいよ。
売上に見合うCACをちゃんと見込んでね。とのこと。

で、なにをするべきなのか

やるべきことの順位付けをするならば、


1位は既存のチャーンを下げること(離脱防ぐ)
2位は既存からのアップセルを得ること(ドンペリドンペリ!)
3位は新規顧客の獲得(キャッチキャッチ!)


とのこと。
低いコストで利益を出しやすい順番だそうです。

まとめ

いきなり略語を連発することになったけども、
見て、検索して他のサイトも調べて、理解するとちょっと楽しい。
こういう数字が必要な人には。
経営者やCSさんだけでなく、エンジニアさんにも見て欲しい


そしてこれを見るならエクセルでえっちらおっちらやるよりも
DIGGLE
を使うのがいいんじゃないかな!

ここ数回のふりかえり

ここ数回の火星の学校のテーマは
B2Bに効くコミュニティマーケティング
B2Bに効くカスタマーサクセス
みたいなテーマだったんですよ。


で、ホスピタリティ的にどんなお客さんも大事にするけど、
常連さんはもっと大事にしないとねー。
っていうような流れを感じていたんです。


そこへ来て今回は
「じゃあ、どんな指標を見たらいいの?」
という内容だったので、
ああ、とっても勉強になりましたわ。
これはいい勉強会だった。


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