最初は「再現性の話」を書こうと思ってたんです。
再現性ってのが大事だよー、と。
再現性って何?とwikipediaで調べてみますと、
再現性(さいげんせい)とは、 同一の特性が同一の手法により発現するとき、その結果の一致の近さのことである。
再現性の危機 - Wikipedia
ってなことが書いてある。
わかるー。
どんな場面で使うかと言うと?
例えば、科学実験で、同じ手順で作業したら同じ結果が得られました。
というのは、再現性があること。ですね。
逆に「同じことしてるのにぜんぜん違う結果になっちゃう」のは、
再現性がない
(余談ですが大学生の頃電子工学科で、嫌というほど経験した)。
例えば、プロの料理人さんが少しずつ違う食材を微調整しながら
自分もお客さんも満足できるレベルの「いつものあのメニュー」を出す。こと。
再現性がある。
逆に「こないだ作ったあの料理、超美味しかったけど何入れたか覚えてないんだよねー」というのは、再現性がない。
あと例えば、電車の運転なんかも再現性があると言っていいのではないかしら。
同じように運転する。途中トラブルがあった場合は調整しながら、
到着予定時刻に着くべき駅に着くように走らせる。
でっかい事故があったりすると、もちろんつかないけども、
上のwikipediaの言葉を借りると、
「その結果の一致の近さのことである。」ので、けっこう再現性がある。
ラーメン屋の店長が言うには
昔、ラーメン屋さんでバイトをしていた。
ラーメン屋さんというか、
看板は「長崎ちゃんぽん」なんだけど、中華料理屋さん。
いわゆる街の中華料理屋さんメニューもなんでも出していた。
ちゃんぽん、皿うどんはもちろん、
醤油、塩、味噌、とんこつのラーメンを出し分けるし、
八宝菜、酢豚、エビチリ、麻婆豆腐、レバニラ、肉野菜炒め、豚肉のスタミナ炒め、
チャーハン、焼きそば、もやしそば、五目麺、五目焼きそば、カレーライス、
餃子、焼売、春巻、ごまだんごと、一人バーミヤン状態。
店長一人で作っていた。
彼の料理には再現性があった。
まかないでなにか作ってもらっても、
いつも同じおいしさだし、いつも同じ量だった。
(ときによって塩の量が違うこともあるけど、
一定の範囲から外れることはなかった)
ある日店長が
「直人、プロの料理と素人の料理はなにが違うか知ってるか?」
と聞いてきたことがあった(ヒマな店だった)
「なんすかねー、お金をもらえるかどうかですかねー。」
と、バイト少年の私は答えた。
「お金をもらえるのもそうだけど、
同じ料理を作れるかどうかがプロかどうかの違いなんだよ。」
と店長が答えを教えてくれた。
今思えばあれは、再現性の話だった。
今思えば彼は私のことを「直人」と下の名前で呼ぶ人だった(超珍しい)。
そんな店長の話はずーっと前に
そろそろ浦沢さんの話をしておこう。 - うさみ日記
にも書いたんだった(完全に余談)。
何かしらのシステムでエラーが起きた時の話
情シスっぽい仕事をしていると、
「何かしらのエラーが起きた」という時に気になるのが
・取り急ぎどうやって復旧させるか
というのがひとつ、
あと、
・今後も同じエラーは起きるのか
という点だ。
今回限りなら、ちゃちゃっとつぶして終わり。
今後も起きるのであれば、再現性があるかどうかが分かれ目だ。
再現性がある=「何かをするとエラーが起きる」なら、
その何かをしてもエラーが起きないようにする道を探せばいい。
怖いのは
「エラーは何度も起きるが、何をきっかけに起きるかわからない時」
で、再現性がないのに再現しちゃう時だ。
この場合はなんとかして「きっかけになっている何か」を探すことになる。
穴が開いてるなら塞げばいいけど、
その穴が見えなかったりする。
ちょっとだいぶ話が脇道にそれたので、
元に戻そう。
再現性があるものって自動化できるんじゃないの?
という話だった。
自動化の話
再現性があるものは全て自動化できるんじゃないの?
と、思ったんだった。
再現性のあるものはおそらく全て自動化できる。
もちろん、コストに見合うかどうか、とか、
倫理的にどうか、感情を考えるとどうか、みたいな話はあるけど。
例えばあんなにおいしかった店長のちゃんぽんは、
今なら長崎ちゃんぽんリンガーハットで安定して食べられるし(店長ののほうがおいしかったけどな!)
ボルボのトラックから運転席がなくなってるらしいし
(運転席がない! ボルボの自動運転EVトラック、荷物を運ぶテストへ | レスポンス(Response.jp)参照)
ファクトリー・オートメーションが進んでどんどん製造の現場は変わっていくし(なんなら故障の事前予測までAIがしてくれる)、
マーケティング・オートメーションが進んで属性分けされた見込み顧客に属性毎にカスタマイズしたメールが送られる(逆に手書きのお手紙を送る領域もきっぱり別れてるけど)。
アラブの石油王は今でもお付きの人に孔雀の羽根で仰がせてるのだろうか、
冷房とサーキュレーターの組み合わせかなー。涼しいし。
結婚式の牧師の言葉は機械化・自動化されるだろうか、
情緒的な問題でおそらくされないだろう。
映画の製作は全て自動化されるだろうか、
個別対応案件が多すぎてされないだろう。
でも、脚本の一部やCG作成やらVFXやらは自動化されたりしそう。
身の回りの何が自動化されるか考えるのは楽しい。
演劇や舞台芸術みたいなものは、自動化されない。
高級店の料理も、自動化されない。
一流ブランドの店舗は、自動化されない。
BtoBの大型商談も、自動化されない。
(とは言い切れませんけども)
すでに色々な物が自動化されている。
工場はぐんぐん自動化されてるし、
家ではスイッチ一つでお風呂が沸くし、
回転寿司屋のシャリは機械が握ってくれる。
コンビニエンスストアではバーコードで金額を読み取る。
人を雇うより安ければ自動化してもいいんじゃない?
って、色々な場面で思うし、
これからもっと再現性のきっかけが解き明かされて、
コストが安くなっていって、自動化されるものがもっと増えるんだろうなー、
とふと思った。
先日、米国イリノイ州シカゴでConnections19というSalesforce.com社のイベントがあって、
その中のトークセッションでチェロ奏者のヨーヨー・マさんが登場したんです。
途中で素晴らしいチェロの演奏も交えつつ。
この演奏がさ、実は機械が全自動でやってるんじゃないって言い切れる?
あるいは、この先も機械が全自動でやれはしないって言い切れる?
Salesforce on Twitter: "Trailblazer @YoYo_Ma discusses his belief that moments of shared understanding are essential to imagining and building a better future with @soledadobrien at Connections. #CNX19 https://t.co/9GDF41QeRL"