うさみ日記

東京都日野市からまいりました宇佐見直人です。ITとかマーケとかの話や、勉強した話なんかをするよ。

BtoBなWebサイトにとっても詳しいWACULの垣内さんにお話を伺った話。あるいはデジタルマーケティングの本質と18種類の勝ちパターン。

WACULは2010年創業の会社。
垣内さんはCIO(Chief Incuvation Officer)です。


元々は成果コミット型のサイト改善コンサルタント
「売上上がらなかったらお金を返します。な、コンサル。」
結果はそこそこ出たが、自分しかできなかった。
そのノウハウを全部AIアナリストにつぎ込んだ。

AIアナリストはすごいシンプル。

Google AnalyticsやSearch consoleのデータをAIに取り込んで、分析し、改善手法の提案とレポーティングをしてくれる。
「たぶんこのくらい伸びそうだよね」というのを改善するための情報が手に入るサービス。


利用実績は3万サイトくらい(無料を含む)
なので、3万サイト分のデータがAIに取り込んである。
膨大な学習により、施策の73%は成果が出る。その多くが1.5倍以上伸びている
(人力コンサルの時は50%くらいのヒット率だったので、AIが勝っている。)


最近は研究所「WACUL LAB」で大学の先生とも組んで勝ちパターンを蓄積。

■1.デジマ業界の悪しき慣習

人材紹介会社のCVRに関するクイズ

「『人材紹介』の勝ちパターンからクイズです。どっちのCVRが高いでしょうか。」
A:ビズ○ーチ等、リンクは「会員登録」のみ。他のリンクは一切削除したサイト
B:「求人検索」導線が中心。職種、勤務地、キーワードなどで選べるサイト


答え:
会員登録型のほうがCVR高い。これは10年前くらいから変わらない。
ユーザは求人を見たいが、自力で希望する求人を見つけられない。
それよりもすぐにエージェントに会ってもらった方が双方にとって効率的。


想定される理由は、
「会員登録型」の方が、ネガティブな要因から転職を考えている人にとって都合がいいから。
「求人検索型」は、営業が集めたデータを見せたい気持ちがあるためDBを公開しているが、
検索型はCVRが登録型の半分。

「永遠の初心者」と「バズワードの横行」が車輪の再発明を助長する

勝ちパターンがあるのに違うことをしてしまう。
車輪の再発明をいつまでも繰り返している。
デジマ業界では車輪の再発明がいつまでも続いている。
車輪はインドで作られたあとにヨーロッパで作られたり。
みんな一個の車輪ができたらそれを使えばいいのに!


永遠の初心者:頻繁な異動により知見が0クリアされる。
→何も知らないWEBの初心者が生まれる
→移動が無くても専任少なく知見がたまらない
バズワードの横行。
→夢見すぎ→大失敗→地道なPDCAでもと通りにする
→異動により知見が0クリア
→何も知らないWEBの初心者が生まれる
→移動が無くても専任少なく知見がたまらない
→…


WACULが目指すのは誰でも80点が取れる世界。デジマの勝ちパターンをみんなが共有できる世界。

勝ちパターンは「18種類」に絞られる。

同タイプサイトのデータを比較し、ベストプラクティスを抽出している。


WEBで完結するもの:ECとEC以外
WEBから営業にパスするもの:BtoBとBtoC
というような大きな分け方。


BtoBもエンタープライズと規模問わずのものがある。
また、専門商品か否か、という話もある(お客さんが詳しいかどうか)
3万サイトを取り込んであるので、同サイトタイプでデータ比較ができ、
結果が出やすい施策を導き出している。

「BtoBの規模問わず」のところの話


規模を問わないBtoBの商材の特徴
・お客様が営業より詳しくない→選べない
・WEBサイト見てもわからない→営業が来てようやくわかる
・企業規模問わず
・お客様はコストカットしたい
・顧客の知識量が少ないため、営業がソリューション営業しないといけない
・サイトを見れば見るほど離脱するので、営業が説明する必要がある

ここで再びクイズです。大事なこと1「CV設計」について。

「営業担当にわたす前にwebでしっかり理解させるべきか」
webサイトを作る上で、目的をどこにするほうが結果が出るでしょうか?
A:サービス理解よりCV数
B:CV数よりサービス理解
どっち?


これは
「A:サービス理解よりCV数」です!


理解できないと離脱するので、最速で営業にわたすべき。
リードの質はどう担保するか、というと?
顧客情報を取得し、企業側が取捨選択しましょう。
そうなると、サイトの勝ちパターンはシンプルで、全てのページ、全てのエリアから
とにかくフォームに直行させる。


入り口ページでは一番目立つメインビジュアルしたにCVボタン設置
コンテンツ別に文脈を揃えてフォーム誘導
「お問い合わせ」ではなく、
・料金のページ:料金表ダウンロード・見積もり依頼
・機能のページ:3分で機能がわかる資料ダウンロード
・事例のページ:事例集ダウンロード
というように、ページによってCVボタンを変える


全ページに資料請求だと弱い。
「もっとみたい、楽したい、あとで見たい」を喚起して、CVに誘導


ノウハウを探しに来た人に見せるのは、
「もっと見たい」「楽したい」「後で見たい」といったCV。
見に来た人がなにを求めているか、に合わせて。


大事なこと2:縦長LPとファーストビューのみLP、どっち?

A:縦に長く数カ所にCTAや下部にフォームがあるページ
B:ファーストビューのみ、左側に説明、右側にフォームがあるページ
どっち?


正解は、ファーストビューだけのLP


CVの障壁が高すぎない限り、ファーストビューだけで十分CVに至る。
LPで細かい説明はできないし、長々書いてあっても読まない。
CVを何にするかの工夫がもっとも成果に影響する。
「WEBで説得するなんて無理!」「みんな『見たいものをもっと見たい』以外ではCVしない」
見に来た人に対して見たいものを置くのが、CVの勝ちパターン

LPのベストプラクティス:

・ファーストビューにフォームを露出する。だめならCVボタンを置く。
流入経路毎にCVポイントの障壁を調整する
 …指名検索なら資料請求や無料トライアル(名前がわかってきてるから)
 …リタゲからなら期間限定キャンペーン(何度か見てるけど今回はキャンペーンが!)
 …薄い広告ならノウハウ冊子ダウンロード(とりあえず概要を知ることができるもの)
・メインビジュアルの画像・訴求は定期的に変える
 …ここは考えて作り込むより高速で回すのがおすすめ

大事なこと3:掘り起こし。たまったリードをどうするか。

再度クイズです!
A:ユーザセグメント別にメールを毎月
B:全員に同じメールを毎週
どちらが結果につながるでしょうか。


正解はBの全員に同じメールを毎週


・リスト数がよほど多くない限りユーザ別に送っても工数に見合わない
・メールは2秒しか読まれないため、「自社製品/サービスのリマインド」と「架電タイミングのシグナル取得」を主目的にすること
・見てるのはタイトルだけ。タイトルに検討に値するワードを入れること
 例)毎週「AIアナリスト」をタイトルに入れたメールを送る。中身はなんでもいい。
・ブログやってればブログのリンクを送ればいい
・「メールのタイトルを送っている」と思えばいい。


工数をかけずに毎週メールを送る。タイトルに製品名を入れる。
・テキストメールで良い(計測のためにHTMLにはするけど)
・中身はブログやニュースなどの使い回しで良い
・リマインド効果を狙いタイトルに製品名を入れましょう
・架電シグナルになるようにリンク文言を工夫。インサイドセールスの優先度付けに使う
※ファンが多いBtoCサイトでは内容も重要なため要注意。薄い情報は嫌われる。


大事なこと4:記事のSEO運用

BtoBだと専門知識が多いからコンテンツ作りやすい。
未だに成果に結びつかないSEOに注力する企業が多い。
ビッグワードよりも下位ページでの流入を狙おう。


未だに成果に結びつかないSEOに注力する起業が後をたたない。
×トップでビッグワードを狙う。上位表示されるかはGoogle次第。期待値が低い。下位ページを量産したほうがよい。
×Googleの裏をつくテクニックを使う。→ユーザが求める情報を書いたほうがよい。
×訪問数の増加を狙う→キーワード選定からCVを狙うほうがよい。訪問数を見すぎると売上に連動しない


WACUL自信も昔失敗して、現在はコンテンツ制作に注力している。
×トップページで「アクセス解析」1位を狙った
×大使館の旧ドメインを取得したりした、が
→今はとにかく人のためになるブログをやっている。


広告だと1~2万円掛かるけど、SEOなら4千円。
書きたい記事ではなく戦略的にCV数増加を狙う


・始める前に費用対効果を試算
・訪問数ではなくCV数を狙うキーワードを
・強豪よりも価値がある記事を書く(競合を見て、それよりいい記事を)
 例:車の免許の試験の合格方法は、元々網羅的な記事が載ってたけど、ユーザニーズを考えて、「免許の試験」で検索してる人(ギリギリ)に対する情報を
  「これだけ読めば合格できる!」を書いた。「”絶対”は×」とか
・赤字を出しても100記事は書きましょう。
・効果検証して定期的にリライト
・組織に合わせた執筆の分担を。職能としてSEOと業種知識とは別なので


WACULさんは「骨子自動サービス」というのもやっているとのこと。


終わりに。
「デジタルマーケティング車輪の再発明」を終わらせたい。
「ユーザの理解」と「市場づくり」に時間を使うべきデジタルは手段なので、振り回されないように。


おわりに

いろんなところで大小いろいろな車輪が再発明されてるんだと思う。
巨人の肩に、のりましょうね。


ちなみに、WACUL垣内さんの話は今年2回聞いたんですが、
話す内容にブレがほっとんどないのがすごかったです。
説得力むっちゃある。
ほんとはここに書いてない質疑応答の内容とかもたいへんおもしろかったので、
興味ある人は声かけてください。


あと、垣内さんのツイッターも超ためになるので、見てみて
twitter.com