うさみ日記

東京都日野市からまいりました宇佐見直人です。ITとかマーケとかの話や、勉強した話なんかをするよ。

電車にて。あるいは就職活動中の人がみんないい会社に入れますようにという祈り。

都営大江戸線青山一丁目駅に着き、ドアが開いた。


電車に乗っていた一人の女性が
体を半分乗り出して、
何かしらをホームと車体の間にポイと捨てた。


その電車をホームで待っていた私は車内に入り、
その女性を含む大学の仲良し四人組風グループの話に聞き耳をたてた。


四人の会話から察するに、
一人の肩あたりにとまっていた
「わりとリアルな虫」を、
先ほどの女性がポイと捨てた、
というのが、
わりとリアルな話らしい。


手にはティッシュペーパーの類いすらなかったから、
素手でいったに違いない。
わりとリアルな感触が手のひらに残ったはずだ。


わりとリアルな虫をリアルに手のひらで包んで、
服と手で押しつぶしもせず、
手のひらで握りつぶしもせず
ホームと車体の間にポイと捨てるなんて、
なかなか器用だな〜という思いと、
勇敢さと命を重んじるその姿勢に感心した。


でもあれきっとわりとリアルな感触が手のひらに残ってるんじゃないかと思うんだ。


四人組の中でその子だけがリクルートスーツで、
就職活動帰りを思わせた。


わりとリアルにこういう子が、
わりとリアルないい会社に入れたらいいのに。
わりとリアルにボロいビルにあるわりとリアルにまともな会社。


初夏にはわりとリアルな虫がやってきて
彼女はわりとリアルにそれを捕まえて、
わりとリアルに窓の外へと放つのだ。
周囲と彼女の距離感は近づき、
でもあれリアルな感触が手のひらに残っただろうな、と思われることだろう。


つまり私が言いたいのはこういう事だ。
「わりとリアルな虫」ってなんだ!?