三日目の今日も朝イチの基調講演のメモをとってみました。
テーマ
行政デジタル化に重ねる「企業 DX の正解」~データがつむぐ官民連携と日本企業デジタル変革の成否~
内容
1.コロナが顕にした日本の劣化
日本は2,000年頃から「e-Japan」「i-Japan」として
政府のITを世界に冠たるものにしようとしてきた。
一般企業は以前からテレワーク、ペーパーレスという取り組みをしてきていたはずだが、
あまり進んでいなかった。
コロナが推し進めた。
「アベノマスク」は一人一枚の配布ができなかった
「給付金」は電子申請より紙申請のほうがはやかった
古森さん
コロナの影響で、このままではいけない、と理解してから一年経った。
民間も行政を責めるだけでなく、テレワーク対応できているか、という点を意識すべき
一回目の緊急事態宣言と比較して、出社に戻っている企業が多いのでは。
「要するにアウトプット。結果を出すぞ。」
という観点/ゴールがあるため、テレワークかオフィスワークかが選択されている。
本来そうではないはず。
感染者数はFAXで情報が流れているという実態があるらしい。
電子化できていない部分多数。
エクセルでマクロで、という文化が根強く残っている。
そうではなく、DB化して「情報のバケツリレー」をやめたい。
国会でも答弁時に紙を持つのではなく、タブレット等活用すべき。
目の前のことに一生懸命になって
「仕事をした感」にひたってはいけない。
役所の過去の情報は紙→テレワークで家に居ても見えないから、事務所に行く必要がある。
テレワークだと、オフライン時に話ができないため、雑談が減る。
これは行政、民間問わず。
紙は悪くない。便利。
紙の全てを否定するのではなく、
情報の格納をデジタル化して、
一部アウトプットで紙を使う、というのもあるかと思う。
「創造的仕事」を人がやるべき。
jGrants開発の裏側。
申請の電子化等。
一度プロジェクトは頓挫したが、
またプロジェクトが動いている。
「届け出の窓口だけ電子化」というのが最初の状況。
補助金はいろいろな種類があるが、
その全てに対応できているわけではなかった。
なぜか→「BPRですから」と言われた。
多様性が本来求められているのに。
例えばゲームで考えると、
ゲームのユーザーのレベルによって、
出てくるモンスターは異なる。
それになぞらえて、そもそも「申請」という場所にいるなら、
どのモンスターが出てきて、どのフラグが立って、というのを
APIで実現する、という方針を考えた。
それまで行政はオープンデータにしかAPIを使っていなかった。
そうではなく、内部処理を含めてAPI化を進めるべきだ、
という方針を立てた。
補助金だけで500?1,000?(国、地方自治体、全て含むといくつ有るかわからない)。
jGrantsは公募から結果通知までの複数ステップを、
いろいろなシステムとの連携部分を含めてできるようにしている。
「申請させることが目的ではなく、
困っている人たちに補助金がとどくようにすることが目的」
それができるように、提出データの様式チェックをするだけでなく、
審査員との利害関係等まで含め、いろいろなチェックができるようになっている。
提供する側の縦割りの組織でなく、
申請者からの申請に正しく普及できる仕組み。
大きい組織なら組織で対応できるが、
小さい自治体等だと担当者が一人で対応している場合もある。
プラットフォーム化することで、申請→承認のフローもバイパスをさせたりするなど、
多様なフローを組めるようになっている。
DDDMという概念。
データドリブンな意思決定
プラットフォームはSalesforce、heroku、Mulesoftを使っている。
最近はローコード開発が注目されている。
→セールスフォースはローコード。
6ヶ月でこの仕組はリリースされた。
herokuはプロが使う環境だが、
すぐに準備ができている状態になるため便利。
拡張性もある。
先に業務のイメージがあって、
そのためのツールを集めていったらこの構成になった。
セールスフォースはカスタマーボイスを組み込むために
アイデアエクスチェンジという仕組みを用意していて、
投票で新機能を決めることをKPIの一つにしている。
ローコード、APIも含め
政府は調査1年、設計開発1~2年といったロングスパンの開発をしていたが、
こういう作りにしてより柔軟性をもたせ、
民間の足を行政が引っ張らないようにしようとしている。
jGrantsの仕様書は経産省のサイトにある。
一般企業のリファレンスとして見るのもよい。
行政の過去のアセットと新しいことをつなぐ仕組み。
過去のものを活かしながら新しいカタチに進化させていく、
API活用は必然。
セールスフォースはCRMのツールだが、
「顧客中心、顧客接点の軸」と「縦横無尽なコミュニケーションレイヤー」
がある。
今まではビジョンもあってもできなかった。
今はビジョンに沿ったものを顧客も社員も両方がよりハッピーになるようなものを作っている。
CIO/CDOへの小森さんからのメッセージ。
「コスト削減するCIO」
「使われるべきデータを使えるようにデザインするCDO」
がいると思うが、
どういう方向に持っていくために、決断できるような人、
自分たちの未来を自分たちで描けるような人たちが
CIO/CDOとして推進するべき。
ものすごく早いテクノロジーの進化があるが、
データをイノベーションにつなげるのは人間。
いままで以上にCIO/CDOの仕事が大事になる。
新しい技術やツールについて調べて知る必要がある。
戦艦大和の建造ではなく、すぐに使える戦闘機が必要。
オードリー・タンさんの3つのF
「Fast(高速)」「Fair(公平)」「Fun(楽しい)」
行政は行政、民間は民間ではなく、
システム、データがどんどん融合/連携していく必要がある
行政⇔民間のデータ連携も今後考えられる。
民間がアプリを作って申請を便利にする、という未来もあるかと思う。
「行政や民間で区切る必要はまったくない。
基点は提供する側の企業/組織ではなく『ユーザー』。」
企業に向けたアドバイス
高橋さん
自分のところが使うものではなく、
エンドtoエンドで、
社会主義的でなく民主主義的なしくみを作ろう
小森さん
アプリケーションは進化するので入れ替えればいい
データは「事実」なので、
それをインサイト・インテリジェンスにつなげるようにすること。
アプリケーション、技術は進化する。
データを大事にする仕組みにすると、現場に役立つようになる。